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生き方・働き方の選択肢を広げたい――フォトグラファー堀ちゃんストーリー

写真・動画クリエイターの「堀ちゃん」こと、堀部泰市さんの人生のストーリーを取材・執筆させていただきました。

(株)Color Brandingの伴走のもと、Vision・Mission・Value・Purposeを策定される際、これまでのご自分の人生を振り返り、言葉にすることで、より明確な方向性が見えてくるのでは?という意図でのご依頼でした。

自分のこれまでの人生を「ストーリー」としてまとめることにはたくさんの意義があります。

点と点が線になること。
当時は気づかなかった、違う捉え方に気づくこと。
これから目指す方向性が明確になること……。

堀ちゃんのように、日常的に内省されていて、スピード感を持って言葉にできる方にとっては、文字にしたものを再度見ていただくことで、「インタビュー中はこう答えたけれど、言い尽くせていない。」「こう表現してもらったけれど、自分にとってはこの先こそが大切だ。」と発見してもらえるという点でも、貴重な機会になると感じました。

実際堀ちゃんからは、たくさんのフィードバックをいただき、文章を仕上げました。

このやりとりが、ご自分が本当に大切にしていることを明文化するうえでとても大切なのだと、私も勉強させてもらいました。

ワクワクする人生を送りたいと思っている方、逆に毎日楽しくないなぁ……とぼんやり思っている方に、ぜひ読んでいただきたいです。
堀ちゃんの人生から、何か感じてもらえたら私も嬉しいです。


夢を自由に生きる。
その生き方は、誰かの人生の選択肢をも増やす。

好きなカメラの仕事は途切れず続きながらも、忙殺されることなく、きちんと休みを確保し、常に先のことを考えている――。
そんな理想的なフリーランスの働き方を実現している堀ちゃんは、現在26歳。
社会人4年目にしてこのスタイルを築き上げている。

“堀ちゃん”こと堀部 泰市(ほりべ たいち)さんは、出張カメラマンとして、また写真教室の講師としても活動する、フリーランスの写真・映像カメラマンだ。
神奈川を拠点に、週に1度ほどは関西方面にも撮影に出向き、ウェディングの前撮りや家族写真を中心に、企業案件も手がける。

写真教室の講師として活動しているのは、主に撮影のない夜の時間。初心者からプロまで、ほぼマンツーマンで月25~30人もの生徒にオンラインで指導しているというから驚きだ。

そんな多忙な日々のなかでも、週2日は計画的に休みを確保。同業の妻と予定を合わせ、ドライブを楽しむなどしている。
この公私にわたるバランスのよさは、堀ちゃんを語るうえで外せない特性だ。

副業を本業に。人生の軸に沿って、舵を切る。


堀ちゃんが趣味だったカメラを本格的に学びはじめたのは、大学4年生になってすぐのこと。
第一志望だった会社に就職が決まり、副業の種を育てておこうという思いからであった。
4年生の秋には撮影仲介サービスと業務委託契約を結び、卒論提出後の1月から、プロとして本腰を入れて活動を開始。
するとわずか3カ月でInstagramのフォロワーは1万人を突破し、仕事の依頼も相次ぐようになった。
そして撮影の現場では、目の前の人が心から喜んでくれる――カメラの持つ可能性を強く感じながら、4月、会社員としての生活が始まった。

入社した会社は、想像以上に拘束時間が長く、思うようにカメラに時間を割けなかった。
さらに希望していた人事の仕事に就ける見込みも薄く、モヤモヤだけが募っていった。
多くの人は、そんな状況でも「とりあえず2~3年は働こう」と考えるだろう。
だが堀ちゃんは違った。

そんな“世間の常識”に流されず、入社後わずか1カ月で退職を決め、フリーランスのカメラマンとして生計を立てていこうと舵を切る。

「いつかは起業すると決めていた僕にとって、25歳までの3年はめちゃくちゃ大事。1年1年が勝負だと思っていたので、無駄にできなかったんです」。
こうはっきり言えるのは、彼には明確な人生の未来像があったからだ。

人生をまるごと楽しみたい


「一度きりの人生の最期に、楽しかった、やりたいこと全部やり尽くした、と本心で言って死んでいきたい」と堀ちゃんは言う。

彼のPURPOSE (存在意義)は「楽しい人生を送るための幸せのタネを育む」。
そして目指すVISION(未来像)は「夢を自由に生き、心の底から幸せだと感じている人がたくさんいる社会」だ。

そんな人生を送るために、彼自身、自分が何歳でどういう状態でありたいのかという目標を、仕事とプライベート両軸で設定しているのだ。

「僕は、仕事も家族との時間も、両方楽しみたい。子どもが熱を出したら、すぐに駆けつけられる親でいたい。27~28歳には第一子が欲しいから、それまでには自分がいなくてもビジネスが回る体制を整えておきたい」と、逆算する。

この考えの原点は、幼少期にある。

堀ちゃんの実家は、代々続く飲食店。
両親は毎日朝早くから夜遅くまで働いていたため、家族で出かけた記憶は数えるほどしかない、という。
それだけたくさんの時間を割いている仕事を、両親は楽しいというより義務感でこなしているように見えた。

「仕事って楽しいものだよ?」と言う堀部少年の言葉を、両親は否定した。

「それが悔しかったんでしょうね……自分が仕事で楽しんでいるところを見せたい、という気持ちが生まれたのかもしれません」。

それ以来、仕事もプライベートも両立させたいという気持ちが、人一倍強くあるのだそうだ。
その想いは、自分自身のことだけにとどまらない。幸福度ランキングが決して上位とは言えないこの日本で、“心の底から”幸せだと言い切れるような人を増やしていきたい、という彼のVISIONに繋がっているのだ。

「楽しい」を貪欲に追い求めて


堀ちゃんは、学生の頃から好きで得意だった数学の証明問題のように、自分が目指す人生の理想の姿に向かって目の前の決断を繰り返してきた。

彼のこれまでの人生のストーリーを聞いて感じるのは、楽しいと思える環境を、自ら選び取ることの大切さだ。

「僕は、好き嫌いが激しいんです。何事も楽しんでいきたい、逆に言えば、好きなこと以外はやりたくない。自分の好きなことのためだったら、どんな場面も楽しめます」。

この言葉を象徴するようなエピソードがある。

小学生のとき、勉強は上位ではあるものの好きではないと気づいた堀ちゃんは、中学から大学まで一貫の中学を受験することに決めた。
受験が1回で済むのは魅力的だったし、将来家業を継ぐ可能性も念頭に置き、経営者を多く輩出している大学の付属校だと、両親が勧めてくれたからだ。

そして、見事受験を突破したその学校はとても自由な校風で、堀ちゃんはのびのびと青春時代を過ごすことができた。
中学では、検定済教科書ではなく、母校オリジナルの教材を使用。
川で動植物の観察をしたり、社会課題に対しての署名を行政に提出したり……多くの課外活動を通じて、自ら考え、行動する大切さを学んだ。
高校のスキー部では、部員主導で日々のトレーニングメニューや合宿の内容を組み、目標にむかってチームで主体的に取り組む楽しさを体感した。

意図的に「苦手」を避け、「好き」がある場に自分から飛び込む、または作り上げる。
この一見シンプルなことを、人はなかなかできないものだ。
そうやって自ら選び取った環境が、今の堀ちゃんの人格に大きく影響していることは間違いない。

自分の土俵でどう戦うか


彼の生き方は、私たちが無意識のうちにたくさんの「ねばならない」に囚われていることに気づかせてくれる
そしてそのほとんどは、「他者」「世間」と比較するなかで生まれるものなのだ。

「僕には、何か自分が叶えたいってものが出てきたら、絶対に叶えてやるんだっていう負けず嫌いのところがあります。だからって、誰かと比べて、負けたとはあまり思わない。それぞれの土俵で、自分の目標に対してどうなのかっていう部分を大切にしたいので」。

「写真に関して言えば、カメラマンから見て、僕よりもっとクリエイティブな写真を撮ることができる人はたくさんいる。だからって、負けた、とは思わない。僕にとっては、目の前の人が喜んでくれていることが何より大切だから」。
そう語る言葉には、強さがある。

堀ちゃんにとって、カメラは、目の前の人を幸せにするひとつの手段だ。
講師業も精力的に行うのは、人を育てることに喜びを感じる自分の資質を自覚しているから。
力を入れる場所を、彼は決してずらさないのだ。

夢を自由に生きるには


自分が叶えたい夢を明確に描き、長期的な視野を持ち、自分の軸から外れることなく具体的な道筋を考え、それを追い求める。
堀ちゃんの言う「自由」は、とてもストイックなものだ。

彼の提唱する「夢を自由に生きる」は、多少の不自由を感じながら制約の中で生きていくよりも、難しい面もあるだろう。
しかし、それでも追いかける夢だから、その過程すら楽しいし、叶えた瞬間は最高に幸せだと感じられるのだ。

自分ひとりでは手が回らないほどの依頼がいただけるようになった今、仲間が必要になってきた、と堀ちゃんは感じている。
そのステージに立ち、周りを見回して改めて思うのは、自分は夢に向かって自由に挑戦してきたからこそ、今幸せなのだということ。
「生き方・働き方の選択肢を広げ、人生を楽しく、感動を当たり前に」することが自分のMISSION(使命)なのだと、確信するに至ったのだ。

彼の生き方は、人生はこんなにも自由なのだと教えてくれる。
その姿勢に触れた人が、自分の人生を自由に選び取れるようになれば、心の底から幸せだと感じる人も、きっと増えていくことだろう。

※文中の年齢等は、2025年9月 取材時点のものです