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映画『PERFECT DAYS』(2024-3)

久しぶりに映画館で映画を観ました。

又吉さんのYouTubeを見て、どうしても観たくなった『PERFECT DAYS』。
やっと観られたのですが…これは映画館で観て正解でした。

東京の公衆トイレの清掃員「平山さん」の日常を描いたこの作品。
主演の役所広司さんがカンヌで男優賞を受賞されたと話題になりましたよね。
役所さんにほれ込んでいたというヴィム・ヴェンダース監督が描く世界はとても繊細で心地よく、特に大きな展開があるわけでもないのですが、ずっと役所さん演じる平山さんを見ていたい、という気持ちになりました。

かっこいいんですよ、平山さん。
決して裕福ではないけれど、自分の生きている小さな世界を愛している―それってこんなに幸福なことなんだなぁと新しい発見をしたようでした。
それに、今の暮らしにたどり着くまでの人生について観客に想像させる描写が多く、観終わったあとも、長いこと、平山さんについて考えていました。

気になって覗いた公式サイトが、これまたすばらしくて。

https://www.perfectdays-movie.jp/

監督のロングインタビューや映画にまつわる情報を知ることで、映画が立体的になり、この作品の面白さが3倍くらいになったんです。すごいな、このサイト。

そもそも映画のはじまりは、柳井康治さん(柳井正さんの次男)のプロジェクト「THE TOKYO TOIRET」で、著名な建築家たちにすばらしいトイレを設計してもらったのに、1日複数回掃除をしても汚れてしまう、という状況が続いていたこと。
その問題に「アートの力を借りよう」ということになり、この映画の企画が立ち上がったのだ、ということをStaffのところで知りました。

面白いですよね。そして実際に、この映画を観た人は、絶対に公衆トイレに対しての見え方が違ってくると思う。こうやって人の心や行動を変えるなんて方法があるのだ…ともう感心しきりでした。

ヴィム・ヴェンダース監督のロングインタビューもものすごく面白かった!
特に印象に残っているのが、彼は、ドキュメンタリーのようにこのフィクション映画を撮り、それを可能にしたのは、もう身も心も「平山さん」である役所さんがいたから、というところ。
しびれますよね。監督語る背景の壁に、この映画のテーマにもなっている、木漏れ日を感じさせる木の影が映っているのもとても美しかった。

純粋に映画の時間だけを楽しむのもよいですが、今回は公式サイトのおかげで何倍も深く、この作品を味わえた気がします。

やっぱりこれからも、時間作ってちょくちょく映画観に行こう。