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45歳で初めて読む『窓際のトットちゃん』

名作と呼ばれている本でも、読んでいない本は山ほどあります。
生きているうちに、どれほど読めるのだろう?と不安になります。

そのなかの1冊、『窓際のトットちゃん』を読みました。
今お手伝いしている書籍編集の参考になりそうな気がしたからです。

読みはじめて最初に感じたのは、
「この本を自分が子どもの頃に読みそびれて残念だった」ということ。
次に感じたのは、
「この本を、我が子がトットちゃんの年頃までに読みそびれて残念だった」ということ。
最後に感じたのは、
「ライターとして仕事をしている今読めて、本当によかった」ということです。

私は黒柳徹子さんが書かれたものを他に読んだことがないので、この執筆がどこまでご本人がされたものか、編集さんやライターさんの手が入っているものか、分からないのですが…
トットちゃんの目を通して、こんなにいきいきと世界を描けるなんて、うらやましいにもほどがあります。
私もこんなに優しくて、愛情あふれる文章が書きたい、と思いました。

初版が1981年だから…徹子さんが今の私くらいの年齢のころに書かれたのでしょうか。
今の私に、子どもの頃の思い出をこんなに鮮やかに描くことはできないだろうと感じます。

何でしょう…登場人物全てが愛おしく感じるのですよね。
そう感じられるのは、徹子さんがそういう目を持っているからで、そのように育ったのは、まさしくトットちゃんが通ったトモエ学園のおかげでもあるのでしょうね。

今の時代に理想とされそうな学校教育が、戦前の日本で行われていたなんて驚きだったし、そこでの小林先生の教育の素晴らしいことといったら!
私が子どもたちが小さいころに読んでいたらなぁと思ったのは、この部分でした。
私も小林先生のように子どもたちに接することができていたら…何かが変わっていたかもしれません。

自分が子どもの頃に読んでいたら、と思ったのは、小さい頃に好きだった小公女セーラとか、コロボックル物語とか…世界が違って見える感じの描写が、きっと幼い私は気に入っただろうな、と感じるからです。
映像として記憶に残る感じが、子どもには(大人にも)最高にいいですね。

自伝なのだけれど、物語としても美しく、ワクワクして、当時の時代背景も分かる貴重な書籍です。
こんな自伝、他にないんじゃないかなぁ。知らないだけであるのかなぁ?

やっぱり、書籍も映画も、名作と言われているものには人の心を動かす力がありますね。