
塩田さんの脳内整理をお手伝いしたら「え?そこ?」ってなった
仲間と何か月もかけて読書会をしている本に、こんな一説があります。
そこで意識したいのが、職能や役割によって規定された肩書きを、心身ともに外していくことである。人生は地続きであり、1つの組織における1つの役割で、その人を規定することができるはずはない。
そこで提案したいのが、1つひとつの行動を活動としたように、「活動家」という肩書きを自分につけてみることである。
(中略)
実際、あなたの周囲にもいると思う。よくわからないけれど周囲から「あの人は仕事ができる」と言われ、一目おかれている人が。様々なことを行っており一体何者なのかはよく分からないけれど、間違いなくその周囲で何かが動いていて、社会を変えそうな予感がする人が。梅田悟司著『きみの人生に作戦名を。』P51,56
この部分を読んで、私は「あ、塩田さんのことだ」思いました。
塩田典保さんは「作業療法士」の肩書きを外したり、外さなかったりしながら、栃木県那須烏山市を中心に、発達支援や熱気球、空き家活用など、さまざまな活動されている方です。
そんな塩田さんが、私が美容師さんの脳内のモヤモヤを言語化した、という記事を見かけて「私も脳内整理をお願いしたい」とコメントをくださり、久しぶりにゆっくりとお話することに。
Zoomで1時間ほどお話を伺い、そしてやっぱりリアルでもお会いしたくなって、さらに2時間ほど、お話をしました。
肩書きを外したら自己紹介に困るから
お話を聞いて、どんなアウトプットにしましょうか?とご相談をしていると、講演などを依頼された際に、「作業療法士の塩田です」の替わりとなる、肩書きというか、簡単な自己紹介フレーズにしてもらおうかな、という話になりました。
「作業療法士」という肩書きに縛られず、いろいろなされている活動を凝縮すると
【みんなが「私らしく暮らせる社会」を目指し、場とつながりを創る人】なのだと感じ、このように文章にまとめました。


でも、これはもう、すでに塩田さんの頭のなかでは整理がついていたことで、別にモヤモヤしていない。私はただ、塩田さんが理路整然とお話なさることをまとめただけでした。
え?じゃあ、なんで塩田さんは私にお声がけくださったのだろう……?私はなんとなく釈然としなくて、もう切り上げてもよいくらいの時間でしたが、もう少し話を聞きたい、と粘っていました。
言語化したかったのは、ご自分のスタンスだった
塩田さんは、根っからの支援者気質というか、「自分は前に出なくていいから、その場がうまくいって、みんなが幸せになればいい」というオーラが溢れている人です。
温和で、怒っているところとか想像できないし、周りの人が「塩田さん、もっと前に出なよ」と言っても、「いえいえ、私なんぞ……」と遠慮気味に微笑んでいるイメージです。
実際、所属している複数の組織では、共通して「副代表」というポジションが指定席かのようです。それなのに、最近NHKテレビで6分を超える特集をされた、那須烏山市大金の『Sunrise Project』では、恥ずかしがり屋の代表ではなく、副代表の塩田さんがインタビューに答えていたし、熱気球関係で話をするときも、代表ではなくやはり副代表の塩田さんが前で話すのだそう。
さらに最近では、立て続けに東京での2つのシンポジウムで講演をされていました。
「自ら、講演します!!とは言わないけれど、依頼されればやるし、嬉しいと思う」と塩田さん。
それに、今所属している6つの組織のそれぞれの活動に関して、「自分のなかで、6つの部署を統括している経営者のような気持ちで、どれくらい自分の力を配分するかを決めている」とも言う。
「雑談」と言ってもいいような会話のなかで、そんな言葉たちがひょこひょこと姿を現しました。
あれ?
もしかして塩田さんは「縁の下の力持ち」じゃなくて、今となっては「表に出る人」「リーダーになる人」なんじゃないのかなぁ。
そう感じたので、素直にそのまま伝えると、塩田さんは
「えっ?そこ?」
とびっくりしたような、でもなんだかとても納得したような顔をされました。
だって、周囲の人たちが自然に動き出すじゃないか
塩田さんはこれまで、必要な人に機会が届くようにと、いろんな人と人をつなぎ、線にし、面にしてきました。やっていることはまさに、人と場、資源をつないで新しい動きを生み出す「コネクター型」や「HUB型」と呼ばれるリーダーのやることにとてもよく似ています。
指揮官のような強いリーダーシップを持ち、ぐいぐいとメンバーを引っ張っていくリーダーではなく、つながりを創りながら、周囲とともに、理想に向かって進んでいく、ソフトなビジョナリー型。
「そう言えば」と塩田さんが話し出しました。
「以前、石原さんが見てもらってて、何となく気になって紹介してもらったホロスコープを見てくれる方に、“思うことはできるが心の中で抵抗感が生まれ、行動化のハードルになる。それは不安感からくる。それを乗り越えていこう!上手くいく!”と言われました。
生まれ育った家族の中でも、バランスを取る役割だったし、前職ではひとつの仕事にのめり込むあまり、上と衝突してしまうこともありました。だから……自分が前に出ることに不安を感じていたのかもしれませんね」
塩田さんが私に話を聞いてほしいと感覚的に思ったのは、この答えにたどり着くためだったのかもしれないな、と私は感じました。
もともとは支援者気質だったかもしれないけれど、ご自分も進化し、周りの状況も変わって、前に出てリーダーとして活動していくステージに、やってきたのではないか?
ただ……ご自身の心だけが、ずっと「影で支える人」のままなのではないだろうか。
彼の頭の中にはいろんな構想がすでにあって、将棋でずっと先の手まで読むように、みんなが「私らしく暮らせる社会」の実現に向けて、打ち手をいろいろと考えています。
あとは、「自分が中心になって進めればいい」という、覚悟というか、許可というか……ご自分で腹をくくれば、一気に動き出すことがあるように思います。
そうすれは、これまで塩田さんによってつながれてきた人たち(私を含め)は、「私にできることがあれば」と名乗り出たくなるに違いありません。
塩田さんは、とても冷静なので、「そのとき」が来るのを待つことでしょう。現在「活動家」としてさまざまな活動をしているのご自分に、もう一度、覚悟を持って新たな肩書きをつけたくなるときが来るのかもしれません。
自分のキャパも、ご家族も、仲間や状況も……いろいろな要素を見極めて「よし、今だ!」と、旗を振るときが来るのだと思います。
さて、全国の塩田さんファンのみなさま。
「そのとき」がきたら、ぜひ塩田さんにご協力お願いしますね。
私の役割はきっと、塩田さんのこの気づきを、言いふらすことなのです。
塩田典保さん:Facebook
<塩田さんが所属されている組織>
・一般社団法人つばさ(本業)
・一般社団法人Roots4
・たかねざわBC熱気球クラブ
・一般社団法人えんがお
・Sunrise project
・一般社団法人栃木県作業療法士会
◆お客様ご感想 塩田典保さん
- 「脳内整理と言語化」の依頼をしたきっかけは?
美容室のオーナーの脳内整理→言語化のブログをみたことがきっかけです。ブログのタイトル「自分の肩書きを考え直す」を見たときに直観的に感じて、石原さんの投稿にコメントしていました。(私の直観って当たるんですよね 笑)
自分なりに内観はできるタイプだと思っていますが、本業での立場、仲間との起業、市民活動、趣味、家族のことなど、仕事・プライベートも目まぐるしい時期でした。「のらりくらりしているね」「何を一番やりたい人なの?」など、色々な声も聞こえている時期で、自分の考え方や進み方への自信と疑問・不安・苦しさが混ざるような時期でもあったので、これは(数年おきにくる)何かのタイミングなのでは?と、石原さんだったらと思っていました。
- ヒアリング、納品物などで特に印象に残っていることは?
本当は気づいているのだけど、気づかないようにしていたこと、向き合いたいけど、向き合いきれなかったこと、話の中で客観的に分析しながら問いをたててくれたことで、最後は頭の中がスッキリしました。
・「言語化したかったのは、自分のスタンス」という言葉。
・ご自身の心だけが、ずっと影で「支える人」のままなのではないだろうか。
この2つの言葉は、うなるように納得させられました。応援メッセージを受け取った感覚です。巨大な横断幕、旗と言えば良いのかもしれませんね。
- ご要望、ご感想など
・2通の手紙をもらえたと思っています。
1)私のキャッチコピー:私のラベルであり、相手との入り口になるもの
2)自分のスタンス:より神髄の部分を深掘りしたもの。欲・課題・根源のようなもの
・今回のような機会は、きっと、「一歩踏み出したい人」「人生の岐路に立っている人」「自分と向き合いたい人」「勇気が欲しい人」にとって、とても良いサービスになると思いました。単純にラベルが欲しい方というよりは、自分の起源を知り、次の一歩を踏み出すきっかけが欲しい方には、めちゃくちゃお勧めしたいと思います。
・有料コンテンツとして、栃木県内の作業療法士さんのインタビュー集をつくるプロジェクトを一緒にやりたいと思っています。

塩田さん、大変うれしいご感想をありがとうございました!